第四部  自然との調和

    人口

 

 我々人間は人間の能力や想像力を過大評価するばかりでなく、それらの物を無限大のものと考えて来ました。しかし最近になって自然科学の色々な発見や発達によって、人間の能力や想像力がいかに無力ではかない物であるかを知り始めてきました。例えば、人間の宇宙空間へ飛び出す夢についても計画されてから十年そこそこで実現され、今日では月に行けると云う事は、常識として日常生活の観念の中に含まれて来るように成りました。しかし地球から最も近い星に行くためには光の速度(物質の出せる最もはやい速度の限界)で四年半という期間が必要で、地球に帰って来る事を考えると実に九年かかります。この現実を見つめる時、宇宙空間はわれわれ人間に直接的には無関係で、無意味なものと思われます。

 しかも人間は非常に弱い動物であり、酸素・水がないだけでも生存は不可能です。まして地球上の他の動植物は人間の生命力より弱い者が大半であり、これらの動植物が住める場所はこの広い宇宙の中でもそうあるとは思われません。

 もちろんこれは確率の問題ですが、とにかく我々の地球という有限な場所から考えた時、宇宙には人間を含めて地球上の動植物が住める場所はこの地球にしかあるとは思えません。

 しかも人間は地上で暮らすのが最も快適であり、適当な温度が必要であります。いかに海中や地下に人間が住める状態を作っても同じことで所詮、太陽のあたる自然の中で暮らすに越した事はありません。

 また、人間は地球上の他の動植物との調和の上でしか生存することが出来ない事を思うとき、人間の数(人口)を考える必要を感じます。

 人間は地上でしかも快適な温度で住める所にのみ住み、地上に目一杯住む事はないと思います。もうすでに人間の数は地球上には多すぎる様に思われます。けれども夫婦二人で二人の子供を産めば人口は増えも減りもしないし、夫婦が一人の子供を産めば人口は減って行きます。私はこれから百年間ぐらいは夫婦で子供は一人か二人にすべきだと考えています。

 この地上で快適に住める面積と最適人口の計算は今後行う必要がありますが。私が最適と考える状態は一組の夫婦で一キロ平方メートルぐらいが適当だと思っています。現在(1981年)のオーストラリアの人口密度は調度このくらいな数字であります。私はこのぐらいまで人口を減らすためにこれから何十年間は夫婦で子供を一人か二人しか作らない様にすることを望みます。そして一応この状態が達せられたなら、それからは一組の夫婦は二人の子供をつくるようにして、どうしても欲しい人は三人にすれば良いと考えます。その様にすれば人口は減りも増えもせず快適な状態で生き続けることが可能であると思われます。

 もっともこれらの考えは原理的であり、子供の時に死亡したり、子供のできない夫婦が あったり、予定外に子供が出来たりなどなど現実には色々の状態があるのも当然のことであります。